sigam - 設立の趣旨 差分

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+! 目的
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+インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会は情報アクセスやマイニングに関する様々な技術や研究を技術分野あるいは学問分野として確立することを目的としています.本研究会の前身である情報編纂研究会ではこの技術(と研究分野)を情報編纂と呼んでいました.これは,対話的探索的な情報アクセスにおける言語情報と非言語情報の有機的な利用に関する技術で,以下の3つの特徴を持ちます.
+# 言語情報と非言語情報をシームレスに扱う
+# 情報アクセスやマイニングのインタフェースとして,情報可視化,マルチモーダル要約,マルチメディアプレゼンテーション等を通じて,言語情報,非言語情報を有機的に利用する
+# 利用者の情報アクセスやマイニングの過程に追従して,もしくはそれをリードして,概要把握から詳細情報の取得までを一貫して対話的に支援する
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+このような技術を分野として確立するために,インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会は,以下の4点を具体的なゴールとして設定して活動していきます.
+# 情報編纂技術の入門書(既存技術との関係や差異の明確化や,事例の紹介を通じて技術のコンセプトを明らかにし,多くの研究者にその分野に取り組む動機づけを与える方向性を持つもの)の執筆
+# 情報編纂技術の展開を支援するインフラ(ツール群,プラットフォーム,コーパス)の構築
+# 情報編纂技術の評価についての枠組みの提案
+# 情報編纂技術をアピールするパイロットシステムの構築(テーマ研究の実施)
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+! 学術的貢献として目指すもの
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+インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会は新しい技術の枠組みを作り出し,新しい学問分野を創成することを目指します.この技術は,情報検索,マイニング,情報可視化,要約や情報抽出を中心とする自然言語処理等,従来は異なる文脈の中で位置づけられることが多かった技術を,複数モード(メディア)を対象とし、それを活かした対話的探索的情報アクセスという文脈で眺め,その有機的な活用(展開)を狙うものです.
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+このような技術分野の確立により,既存技術に新しい方向性を提示できることに加えて,その融合により今までにない技術,システムの構築を加速させることを狙います.更に対話的な情報検索や情報可視化は従来においても研究や技術の枠組み(体系化)がいまひとつ不明瞭ですが,情報編纂という文脈で見ることで,そこにもひとつの提案ができると考えています.
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+このような新しい技術分野を,その内容を適切に紹介できる入門書を通じて提案すること,この分野の研究に取り組む足掛かりとなるインフラを構築することは,広い分野の研究の動向に影響すると考えていますし,人工知能研究全般への活性化にも繋がると期待しています.
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+! 社会的貢献として目指すもの
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+インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会は,技術の分野の創成を目的とするということで直接社会への貢献を狙うものでありませんが,ここで確立を目指している技術が解決しようとしている問題は,現代社会が真に求めているものであると確信しています.
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+情報が大量になり,その表現メディアが多様になった現代においては,情報を獲得する過程がますます対話的探索的になっています.利用者は自分が本当に必要な情報を分かっておらず,もしくは,情報の存在に確信が持てず,まず,漠然とした情報要求を提示することから情報の探索を開始します.それへの応答としてあるべきものは,多様な表現メディアによる情報をわかりやすく要約した(マルチメディアの情報をマルチメディアで要約した)概要であり,それが,更なる情報への入り口となっていきます,つまり,その概要を見た利用者が持つ新たなもしくは詳細化した情報要求に直接応える対話的な仕組みを持っている必要があります.
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+この枠組みは,情報洪水を乗り切るための,情報弱者にも優しい情報アクセスの新しい形の提案となっており,このような技術分野を確立することはその結果として多くの有益なシステムを産み出していくと考えます.
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+加えて,研究会の活動として,パイロットシステムの構築,インフラの拡充も行っていきますが,それらのシステムやインフラが実際に社会に貢献できる完成度を持つようになることも目指していきます.
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+!活動の方針
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+研究会活動としては,開かれた研究発表会とコアメンバによる活動を並行して行っていく予定です.
+:開かれた研究発表会: 開かれた研究発表会は年3回程度の開催とし,各回毎に参加者を募る形とします.また,そこでの情報提供を補助する目的でホームページの設置を行います.研究発表会は原則として以下の3部構成とします.
+# 既存分野のチュートリアル講演(技術の位置づけの明確化のために)
+# パイロットシステムあるいはそれに繋がる研究報告
+# インフラ(ツール,コーパス,プラットフォーム,テストセット等)構築の検討と報告
+このような研究発表会を通じて,情報発信を行うと共に,研究コミュニティの活性化をすすめていきます.
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+: コアメンバによる活動 : コアメンバによる活動としては,研究発表会での講演や発表を参考にしながら,もしくはそれらをまとめる形で,入門書の執筆を行って行きたいと考えています.入門書の内容としては,既存分野の概要報告,それらを基礎とした技術それ自体の位置づけ,その具現化としてのパイロットシステム,研究を支援する資源の紹介等になろうと思います.また,研究発表の中からインフラの切り出し.ツール,プラットフォームの仕様の検討等を行う.これらの活動については今後具体化していきます.
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+! その展開
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+インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会は2012年4月に発足しました.この研究会は,それまでも人工知能学会研究会として活動していた情報編纂研究会と人工知能学会全国大会近未来チャレンジTETDM(テキストデータマイニングのための統合環境)が協力することで動き出しました.情報編纂研究会はそこが目指すインフラの構築と共有がTETDMの目的との親和性からお互いの活動を重ね合わせることとしました.TETDMは,全国大会に閉じた活動から,研究会活動を含めたより総合的な活動へと展開していき,研究会活動を本研究会として行っていきます.
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+研究会の名称「インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング」は,情報検索を発展させた「情報アクセス」とテキストとデータを対象とした「マイニング」が,そしてそれを統合的に扱うための研究と技術が研究会の関心であることを明示しています.これらにおいて,「インタラクティブ」(対話的)であることと,視覚情報を活用するための「可視化」が重要なことは多くの研究者の共通認識ですので,このふたつの語「インタラクティブ」「可視化」は「情報アクセス」や「マイニング」を限定するものではなく,その重要性を認識していることをアピールすると同時に,これらを足掛かりとしてより広い分野に広がっていくためののりしろとしていく考えで含めています.このように,「インタラクティブ」「可視化」の両方が「情報アクセス」「マイニング」の両方に関連するのですが,バランスを考慮して研究会の名称となっています.
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+従来の名称である「情報編纂」は,新しい研究分野を確立することを目指した「新しい」 名前でしたが,現在の名称は,逆に既存のキーワードを多めに含めることで,そこから新しい ものを目指していくベースが何であるかを多くの人に理解していただくという趣旨となっています.「情報編纂」は研究分野および技術の名前として今後も使っていきます.