第21回研究会プログラム
第21回研究会
第21回研究会開催要領
- 日時 2019年3月9日(土)9:00 - 17:50
- 場所 立命館大学朱雀キャンパス 2F 203教室
- 参加費 無料
- 予稿 研究会発表の予稿は,開催日前日の3月8日(金)に本HPにて公開します.
- 当日は紙ベースの配布はせず,USBよりのコピーとなります.
- できるだけ事前にダウンロードしていただけるようお願いします.
9:00 - 9:20
萌え要素の加減算に基づくキャラクタの類似度判定手法の提案
- ○松井 俊樹,朴 炳宣,松下 光範(関西大学)
本研究の目的はキャラクタが持つ萌え要素の加減算に基づくコミックキャラクタの類似度判定手法の実現である.現状の類似キャラクタ判別手法では,「コナンに熱血を足したキャラクタ」のような,キャラクタに関する構成要素の操作に基づく類似キャラクタの判別や検索はできない.そこで本稿では.ユーザの興味を引くキャラクタの構成要素として萌え要素に着目し,既知のキャラクタに萌え要素の加減算を行うことでキャラクタの類似度を判定する手法を提案する.人が判断する萌え要素の加減算結果を正解データとして提案手法の有効性を検証した結果, 70.0%の精度で類似キャラクタを探すことが可能になった.
9:40 - 10:00
絵本における登場キャラクタの行動に着目した感情極性評価
- ○伊良原 諒,松下 光範(関西大学)
研究の目的は,ストーリから受け取る感情極性の推移に着目した絵本検索の実現である.これまでに絵本中の単語の感情極性の推移から絵本同士の類似度を算出し,検索に用いる研究がなされている.しかし,出現するすべての単語から感情極性の推移を算出すると,読み手が受ける感情極性の推移と異なる場合がある.そこで,登場キャラクタごとの行動から感情極性を評価する手法を提案する.これにより,詳細な絵本検索が可能になる.手法の有効性を検証するために,動詞抽出の精度と,付与される感情極性の精度の評価実験を試みた.実験の結果,精度向上には,台詞文の発話者推定や辞書の感情極性の変更が必要であることが確認された.
10:40 - 11:00
味表現を修飾する副詞出現頻度に関する地域差の分析
- ○横川 舜,西原 陽子,山西 良典(立命館大学),吉田 光男(豊橋技術科学大学)
近年,インスタグラムやTwitterなどのSNSの発達により飲食店の広告や口コミなどが,頻繁にSNS上で行われている.SNSの口コミを地域毎に行うことで,広告効果を最大限得ることができるのではないかと考えた.その前段階として,味表現を修飾する副詞には地域差があると考え,分析を行なった.提案手法は,位置情報付きTwitterデータを使用し,ツイート本文から味表現とそれを修飾する副詞と,それに対する位置情報を抽出する.それらを集計し,分析した結果,一部の味表現に対して修飾する副詞に地域差が見られることがわかった.
11:00 - 11:30
調理の失敗低減を目的とした動作中心型料理レシピ提示手法の提案
- ○大杉 隆文,松下 光範(関西大学)
本研究の目的は,料理歴が短い調理者の調理失敗を低減させることを企図した料理レシピの提示手法の提案である.ユーザ投稿型料理レシピサイトでは,投稿者は自身の知識や技術を基に投稿するため,料理における前提知識や詳細な手順が省略される.そのため,料理歴が短い調理者は調理工程を把握することができず失敗する.本稿では料理レシピをフローグラフ形式で表示することにより,調理者に自身が行うべき手順を把握させ,料理の失敗を防止する.提案システムの有用性を確認するために,既存の料理レシピを参考に調理を行う場合と提案システムを参考に調理を行う場合の比較実験を行った.
11:30 - 12:00
深層学習を用いた客観指標との比較による個人特有の嗜好の抽出
- ○渡邉 有輝,砂山 渡,畑中 裕司,小郷原 一智(滋賀県立大学)
近年,SNSのデータから世の中の傾向や,SNSユーザの個人的特徴を捉える研究が進められるようになってきた.しかし,単純に個人の特徴を捉えようとすると,世の中の人々がもつ一般的な特徴と混ざってしまい,個人特有の特徴を抽出することができない.そこで本研究では,世の中の多くの人の嗜好を客観指標として,この指標との差分として個人の嗜好を抽出する方法を提案する.すなわち,ある嗜好を表す分野を対象として,SNSにおけるコメント集合をその分野内の項目(構成要素)に分類するネットワークを深層学習により構築した上で,個人のコメントがどの項目に多く分類されるかをもとに,個人の嗜好を評価する.
12:00 - 13:00 お昼休み
13:00 - 13:30
深層学習における学習ネットワークからの分類パターンの抽出
- ○安藤 雅行(滋賀県立大学),河原 吉伸(大阪大学,理化学研究所),砂山 渡,畑中 裕司(滋賀県立大学)
近年,深層学習における分類基準のブラックボックス問題の解決が重要視されている.そこで本研究では,文章の分類問題を題材として,深層学習により学習されたネットワークの解釈に向け,そこから出力ラベルに分類されるための必要条件となる分類パターンの抽出・可視化を行う.特に本研究では,テキスト分類に広く用いられているRNN(Recurrent Neural Network)を用いて,分類パターンとして,順序付きの時系列パターンの抽出を試みる.また,提案手法により抽出されるパターンと,カイ二乗値により抽出されるパターンとの比較を行った.
14:00 - 14:20
空間座標情報を用いた単語の分散表現獲得
- 〇城光 英彰,岡 隆之介,内出 隼人,伍井 啓恭,大塚 貴弘(三菱電機(株)情報技術総合研究所)
本研究では,施設名や地名の検索への応用を目的に,空間座標情報を用いた単語の分散表現獲得手法を提案する.既存の分散表現獲得手法では,単語の出現文脈に基づき分散表現を獲得する.しかし,既存手法では,空間の情報を考慮しないため, 異なる対象を表す分散表現が類似する問題がある.これに対して 提案手法では,自然言語で記述された名称とその空間座標情報からなる大規模データから分散表現を学習する.これにより,異なる対象については,相違した分散表現が得られる.地名・施設名の同義語検索タスクで評価した結果,提案手法の平均逆順位は,既存手法と比べ,最大で177%(既存手法:0.151→提案手法:0.418)向上し,提案手法の有効性を確認した.
14:20 - 14:40
人狼ゲームをプレイする自律エージェントの戦略に関する検討
- ○永山 翔滋,阿部 穣太郎,大矢 康介,阪本 浩太郎,渋木 英潔,森 辰則(横浜国立大学),神門 典子(国立情報学研究所,総合研究大学院大学)
人狼ゲームとは,対話を通して「村人」の中に潜伏した「人狼」を見つけ出す対戦型の多人数ゲームであり,近年,人狼知能プロジェクトなど研究テーマとしても注目されている.我々は人狼知能プロジェクトに参加し,上位の成績を修められるようなエージェントの開発を行っている.分析すべき観点は幾つかあるが,本稿では人狼の戦術の一つである「ステルス人狼」を実現するため,人狼ゲームにおける対話の分析を行う.特に発話数と注目数に関する調査を行い,結果として発話数を調整することで,人狼陣営が勝利する可能性が上がることを確認した.
14:40 - 15:00
プレイヤによる他者の役職推定過程を記録する人狼ゲームプラットフォームLiCOSの開発と欺瞞コーパスの収集
- ○阪本 浩太郎(横浜国立大学,国立情報学研究所),永山 翔滋(横浜国立大学),飯塚 章裕.渋木 英潔,森 辰則(横浜国大),神門 典子(国立情報学研究所,総合研究大学院大学)
人狼ゲームとは,対話を通したプレイヤ間の相互作用により,「村人」の中に潜伏した「人狼」を見つけ出す対戦型の多人数ゲームである.我々が開発した人狼ゲームプラットフォームLiCOSではゲーム中の対話・投票・対応表入力のログを収集することで,欺瞞と本心を対応付けた対話コーパスの構築を試みている.本稿では,LiCOSにおけるユーザインターフェース,プロトコル,非同期通信の実装について述べる.また,実際のゲームログに現れる欺瞞と本心の対応を分析する.
15:00 - 15:20 休憩
15:50 - 16:20
家庭内行動の深掘りを目的としたIoTセンサによる行動観察手法の提案
- ○服部 俊一,三浦 輝久 (一般財団法人電力中央研究所),市川 玲子,澤井 大樹 (株式会社イデアラボ)
商品開発やマーケティング等に用いられる質的調査として,ユーザの日常行動を把握する行動観察とデプスインタビューを組み合わせて潜在的なニーズや課題を深掘りする手法が広く用いられている.しかし,家庭内行動を対象とした行動観察は観察者の訪問や撮影によるものが多く,被観察者へ影響を及ぼすことや長期間の観察が困難であるといった課題が挙げられる.そこで,本稿ではIoTセンサを用いた家庭内の行動観察手法を提案する.家庭内の省エネ阻害要因の抽出を目的として,センサ計測による行動観察を実施した結果について報告する.
16:20 - 16:50
新しい分析操作を含む操作履歴の提示によるテキストマイニングスキルの伝達支援
- ◯ 中江 剛士,砂山 渡,畑中 裕司,小郷原 一智(滋賀県立大学)
近年,データサイエンスのスキルを有する技術者の育成が盛んに行われるようになってきている.しかし,データ分析のノウハウを独学で学ぶことは難しく,データ分析の方法論を学んだだけでは,具体的にどのような分析操作をすれば良いかまではわからない.そこで本研究では,多くのユーザのデータ分析ツール上の操作履歴を収集した上で,あるユーザがまだ試していない分析操作を含む履歴をユーザに提示することで,テキストマイニングスキルの伝達支援を行う.また評価実験により,提案手法がユーザの新しい操作方法習得の助けとなることを確認した.
16:50 - 17:10
引用論文に着目した研究動向把握支援インタフェースの基礎検討
- ○程岡 晃一,大杉 隆文,松下 光範(関西大学)
本研究の目的は,研究動向の把握を支援するシステムを実現することである.研究活動において自身と同じ研究分野の論文を整理し,研究動向を把握することは重要である.しかし,キーワードや著者名を用いた検索では,企図した研究分野の論文のみを収集できるとは限らない.そこで本研究では,引用論文に着目し,引用論文の比較を支援するインタフェースについて検討することでその解決を試みる.提案手法では,引用論文の一致度や差分を把握させることで,論文同士の関係理解を促した.ユーザ観察の結果,提案インタフェースが論文同士の差分や一致度の理解に貢献することが示唆された.
17:10 - 17:30
キュレーションマップにおけるインタラクティブUIの提案
- ○阿部 穣太郎,渋木 英潔,森 辰則(横浜国立大学)
個別観点について詳細に記した文書を,複数の観点について網羅した「まとめ文書」で繋いでいくことを繰り返して編纂される情報複合体を我々はキュレーションマップと呼ぶ.本稿では,動的に生成されたキュレーションマップを利用者との対話により効果的に閲覧するUIを提案する.特に,まとめ文書の可読性向上と,適切な詳細文書へのリンク生成を目的として,まとめ文書を観点に対応した適切な文書部分に分割できるように,分割精度を向上する手法を検討した.また,まとめ文書から張られるリンクを整理することにより,まとめ文書の順位付けに影響を与えるので,まとめ文書の検出精度がどのように変化するのかも検討した.
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